ケーキ屋の彼
その後、熱々のラーメンを、2人は汗をかきながら食べた。
夏のラーメンは、熱いけれど美味しかった。
「はーっ、なんだか最後の方はうるさかったね」
「ですね、おっさんたちのストレス発散の場って感じで」
先輩も、という言葉は飲み込む。
夜の駅前ということもあり、学生や大人で賑わっていた。
涼しい風が吹いて、ラーメンを食べ熱くなった2人を冷やした。
ガヤガヤと色々な音やたくさんの声のする場所を抜け、大学へ向かう。
2人の距離は、手が触れそうでなかなか触れることのない、微妙な距離だった。
「涼くんは、帰る?」
夜の静かな道に、美鈴の声が響く。
「今日は、帰ります」