ケーキ屋の彼
「柑菜、今朝はごめん」
涼は、以前4人で会った時に連絡先を交換していた櫻子に連絡をし、昼食を食べる場所を教えてもらった。
柑菜は、謝る涼をまるで透明人間であるかのように、徹底的に無視をする。
櫻子と亜紀は、そんな2人を見ながら顔を合わせた。
ついに柑菜に質問を投げかけた。
「柑菜、どうしたの?」
なるべく柑菜を怒らせないように、穏やかな声で話す2人。
「何もないよ、それよりここはうるさいから違うとこに移動しましょ」
すでに昼食をほぼ食べ終えている3人は、柑菜の圧で残りを一気に食べ、席を後にした。
もちろん、今までの涼の行動は、周りの学生から奇妙な目で見られていた。
その視線に気がつきながらも謝罪を繰り返した涼だが、ついに耐えきれずに、諦めてその場から去ることにした。