ケーキ屋の彼
「柑菜ちゃん、実はね、今度の日曜日、亜紀ちゃんの誕生日なの、知ってた?」
「ええ、そうだったの?なにかお祝いしなくちゃね」
大学の食堂で、ランチを食べながら2人話している。
ちょうど授業と授業の合間である昼休憩のこの時間の食堂は、溢れるほどの人で賑わっていた。
ゆっくり話をしながら食べる人、次の授業の準備があるのか、黙々と急いで食べる人、それぞれだ。
今日の食堂のランチは、生徒の中で1番人気のカニクリームコロッケ定食。
衣はサクッと、中のクリームはトロッとして、その2つの食感の絶妙さが生徒の支持を得ていた。
そのカニクリームコロッケを食べながら、2人は話している。
「ケーキはどこのがいいかしら?」
櫻子は、あそこがいいかしら、それともあそこかしら、などと1人で色々なケーキ巡りを頭の中でしている。
しかし、柑菜はケーキと言えばあそこであると、決めていた。