ケーキ屋の彼
「柑菜ちゃん、みんなで写真撮りましょう」
タイミングよく、櫻子が2人に呼びかける。
真波さんがカメラを持って、みんなの前に立ち、立ち位置の調整をしている。
「涼さまもう少し櫻子さま側に寄ってください」
「あ、はい」
「亜紀さまは少し美鈴さまから離れてください」
正確に立ち位置を決めようとする真波に「真波さん、そんなにきっちりしなくても適当でよろしいのよ」と櫻子が笑う。
「はい、お嬢様、申し訳ございません」
真波は再度カメラに目を通すと、今度は特に何も指示をしない。
「では、みなさん、撮りますね。……ハイチーズ」
その瞬間、ピースをする人もいれば笑顔を作る人、わざとなのか無表情、そして照れ臭そうにはにかむ人と、統一感はないけれど賑やかな場面を想像できる写真を撮ることができた。
その後も、みんなは美味しいケーキに料理を楽しみ、このパーティを心の底から楽しんだ。