ケーキ屋の彼
「今日何時だっけ?」
オレンジジュースをいっぱい飲み終えた涼は、今日のスケジュールを確認する。
「午後の1時だよ」
だらだらしていた柑菜は、一気に姿勢を正した。
今日は柑菜が心待ちにしていた、6人で海に行く日だ。
そこは所謂プライベートビーチで、櫻子の別荘がある。
もちろん今日は、その櫻子の別荘にみんなで泊まる。
すっかりと仲良くなった亜紀と美鈴が海に行きたいと言ったところから始まった今日の計画。
最初は女4人の計画だったが、男手が必要だと誰かが言い出し、結局6人になった。
「駅で待ち合わせだから、それまでに用意しないと」
「だな」
柑菜と涼は、それぞれ準備をするために自分の部屋へと戻った。
「何持って行こう……」
そう考える柑菜とは正反対に、約5分で準備が完成する涼。
柑菜は隠せぬ笑顔を浮かべて、まだ見ぬ夏のひと時を心待ちにするのだった。