ケーキ屋の彼
「ちょっと止まって。写真撮るから!」
花の道を選んだ櫻子たちは、写真を撮るために立ち止まりを繰り返しながら進んでいた。
そこには、夏に咲く様々な色の花が咲いていて、ちょうど写真スポットのようになっている。
亜紀は携帯を出して、いろいろな角度で花を写真に収めている。
そんな亜紀たちに、柑菜はすぐに合流した。
「あれ、柑菜?」
一番初めに気づいたのは、双子の弟の涼だ。
「柑菜ちゃんどうしてここに?」
「こっちってスーパーに続く道でしょ? 途中で買い忘れたの思い出して」
「へへっ」と笑う柑菜に、「もう柑菜ちゃんったら」と疑う様子もなく櫻子は途中で合流した柑菜を受け入れた。
ただ、亜紀だけは柑菜がここに来た理由をなんとなく感じ取っているようである。