夢を追え!!

「雪兎、誰にやれた」

「ケンカしただけ。オレ男だよ?殴り合いのケンカだってするよ」

「雪兎」

直矢は動じない。オレの嘘に気づいてる。

それでも、オレはオレの嘘を突き通す。

「本当だよ。だから、そんな顔しないでよ、なおにぃ」

「…」

直矢は眉間にしわを寄せる。でも、それまでだった。大きくため息をつかれ、頭を撫でられる。

「青羽、手当てしてやってくれ」

「ゆき、おいで」

「あ、友だち連れてきたんだ。あとサッカー部の先輩。怜斗とルカと外で待ってる」

「あぁ」

手招きしてる青羽についていき、スタッフオンリーのドアをくぐる。

2階に上がり、リビングに入る。置きっぱなしの朝ごはんに罪悪感が心に広がる。

「雪兎」

呼ばれて顔を向けると、救急箱を持った青羽が近づいてくるのが見えた。
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