夢を追え!!
「おまたせー」
なにも知らない彰矢が席に戻ってくる。罪悪感はあったけど、これ以上塩岡の顔も見たくねぇ。
彰矢と入れ替わるように立つと、自然と注目が集まった。
「雪兎もトイレ?」
「わりぃ、門限あるし帰るわ」
「え?…雪兎!?」
自分のトレーを片手に、スポーツバックをもう片手に立ち上がり、彰矢の制止も聞かずに歩き出す。営業スマイルの店員にトレーを預け、カバンも持ち直してさっさと店を出る。
「雪兎、待ってよ!!」
「彰矢、あんなやつほっとけよ」
背後から聞こえてきた声に、心の中が真っ黒なドロドロに支配されそうになる感覚に気持ち悪さすら覚える。
ここまであからさまな悪意は久しぶりだ。だからこそ、胸くそわりぃ。
店のドアをくぐり抜け、家にまっすぐ歩いていく。…彰矢と滝原、くまに謝っとこ。
そう思いながらスマホを取り出すと、背中からの突然の衝撃に突き飛ばされる。