夢を追え!!
「ん、何?」
「ワーク、貸せよ」
塩岡のそのひと言に空気が一変する。何をいっているんだと言わんばかりの滝原と、表情の読めないくま。
そして、塩岡の上からな態度か、当たり前のように差し出された手か、戸惑った様子の彰矢は困ったような顔を浮かべる。
「え、なんで?答え合わせなら載ってるだろ?」
「はぁ?途中式が書いてねぇだろうが。写せないんだよ」
堂々としたサボりの宣言。
まだワークの答えを勝手に見て写すなら、別に文句は言えない。正しさの押し付けになるだけだから。
でも、ただワークの答えを勝手に見るのと、友人が苦労して終わらせたワークをあたかも当然のように借り受けて写すのは、いくらなんでも同じとは言えないだろう。
これには彰矢も笑みを浮かべられず、不快感の色を見せる。それでも、塩岡はブレそうになかった。