夢を追え!!

「お前ら、ゆきいじめんな」

不意に響いた声に、笑い声が止む。スタッフルームから出てきた人に、思わず笑みが浮かんだのは気のせいだ!

駆け寄ると片手で受け止められて頭を撫でられた。

「店長だって撫でてるじゃないっすか」

「俺は別。ゆきから来るからな」

「「ゆきっ!俺にも来いっ!!」」

「やだ」

ノリがいいのか、バカなのか。バッサリ切り捨てると、2人仲良くカウンターに倒れ込んだ。

それでも、店長…直矢が1つ手を叩くと一瞬で引き締まる空気。厨房に入ってた人も出てきて、向かい合うように軽く円を作る。

「今日はバイト来ねぇから、ゆきが代わりに入るが、変な奴に絡まれたら即行で間に入れ。ゆきが絡まれてるのを見たらすぐにだ。放置したらお前ら覚悟しとけよ」

ビリっと電気が流れたような感覚がする。そして直矢大袈裟だし…。

1人で呆れていると、緊迫した空気をほぐすように直矢が肩の力を抜く。

「ま、よっぽどいねぇとは思うけどな。んじゃ、今日もよろしく」

「「「「「お願いします!!!」」」」」

運動部顔負けのあいさつで締め括られると、また準備に戻っていく面々。
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