夢を追え!!

「…来た」

くまの声に全員一瞬反応が遅れて教室のドアを見る。

そこにいた彼女の姿は、昨日までと変わりない。ただ、違うのは昨日まで突撃してきていたが、視線があった途端そらされたこと。

うつむきがちに自分の席についた彼女は、昨日までの奔放さも、必死さもなかった。

ただ、そこに静かにいるだけ。

「大人しくなったもんだな」

「そういうこと言うな、滝原」

「お前は付きまとわれなくて清々してるんじゃねぇの?」

「それはな。でも、依存されないなら別に突き放してりしねぇ」

「お優しいことで」

滝原は納得してない顔してるけど、それ以上は何も言ってこなかった。

愛華は不服と言わんばかりで、何も言ってなくても言いたいことは嫌でもわかった。
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