夢を追え!!
「荻原」
呼ばれて振り返ると、キャプテンを先頭に3年の先輩たちがいる。
あ、なんだろ。嫌な予感の原因これか。
「話がある」
「それは後輩に話す話ですか?それとも、監督として聞く話ですか?」
「…監督に、聞いてもらいたい」
「分かりました。…聞きます」
あえて1年も2年も着替えでいないタイミングで声をかけてくるんだ。
後輩には聞かれたくないのかもしれない。
場所を移し、早々に話し始めたキャプテンたち。
すべて聞き終えて先輩たちと別れた時、ついたのは特大のため息。
「…なんで、うまくいかねぇかなぁ」
このタイミングで話を振ってきた先輩たちに、少なからず意図を感じずにはいられない。
十中八九、“次の試合は負ける”だろう。
そして、それは事実上…。
そこまで考えて首を横に振る。今は、今だけは現実に向き合いたくない。こんな気持ちで1年の前に出たくない。
もう一度息を吐いて切り替えてから部室へ向かった。