夢を追え!!

まぁ、現実そんな簡単にいくわけもなくて…。

「野々村!」

「っひぃ!?」

彰矢がパスしたはずのボールは避けられた上に、野々村は頭抱えてしゃがみこんでしまう。

流石の彰矢も驚きを隠せず思わず唖然してしまった。

「え…っあ、ど、ドンマイ!ごめんな、思いっきり蹴って!」

慌ててフォロー入れて謝っているけど、当然彰矢は思いっきり蹴ったわけでもなくて…。

転がっていったボールも彰矢が走って取りに行く。

その後も彰矢は軽くパスを出すが野々村は頭を抱えるばかり。

ようやく繋がったかと思ったボールは最早パスとは言い難い、幼い子どもに最低限の力で送り出したようなボールだった。

「…なぁ荻原、あれは使えねぇだろ」

「いや、わかんねぇぞ。練習次第では飛躍的に伸びるかも知れねぇ」

「そりゃ、普通のパスは出来るようになるだろうけど……」

響先輩の言葉が酷く浮世離れしてるように感じる。

パス…いや、ボール渡しを根気強くやる彰矢自身も、野々村に希望を見いだせずにいる。
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