夢を追え!!

結局担がれたまま、やってきたのは2年の教室だった。

教室に残る生徒は数名。その中で、オレたちに気づいて明らかに態度を変えたのは2人の女子サッカー部の先輩だった。

「五十嵐くん、なんで監督さんは担がれてるの?」

「先に話したら逃げそうだったからな。とりあえず連れてくるために担いできた」

「監督、怖くないから逃げないでね?」

「とりあえず下ろしてください」

後々担がれてた子として噂される未来を想像しながらため息混じりに何度目かの言葉を吐く。

ようやく降ろされたものの、両側に響先輩と萊先輩が座る。オレは警察に連行される犯人か…。

「えっと、監督さんごめんね。いきなり時間作ってもらっちゃって」

「オレ何も聞いてないんすけど。あと、監督じゃなくて荻原って呼んでください。響先輩と莱先輩はともかく、他の部の先輩にまで監督って呼ばれるのは気持ち悪いです」
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