夢を追え!!

翌日。

見慣れた建物を前にため息をつく。

後で直矢と青羽に怒られる…。

市の総合病院。

つい1週間前に来たばっかりなのに。

「荻原さん、今日は1人?」

「内緒で来ました」

「じゃ、連絡入れさせてもらいますからね」

顔見知りの看護師さんに苦笑いされる。

病院の雰囲気も、待合室の空気も、ずっとずっと一緒に触れてきたもの。

だから恐怖心はない。ない、はずなのに…。

「荻原雪兎さん」

名前を呼ばれて我に返る。

診察室に入り、苦笑いの先生と看護師さんに迎えられる。

「雪兎ちゃん、直矢さんたち怒ってたって」

「分かってます。…先生、タイムリミットを聞きに来ました」

診察室内の空気が凍りつく。

先生がため息をついて、カルテを机に置く。
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