夢を追え!!

女子サッカー部が立ち去っていく。

それを見送ると、近づいてきた足音に正面に顔を戻す。

「ゆきッ!」

手を伸ばそうとして来た愛華を片手で無理矢理押さえる。その刹那、左頬に走った衝撃に耐えきれず、グランドに投げ出される。

誰かが声を上げたのが聞こえる。

って……口の中切れた。広がった血の味に気持ち悪くなって唾を吐くと、やっぱり血の色が混ざっていた。

身を起こすと、愛華に抱き締められる。視線を向けると、1対1を仕掛けてきた葛城先輩がキャプテンたちに押さえられていた。

それでも、オレを睨む目は憎悪の一色に染まっていた。

「お前のせいで、俺たちは廃部だとさ!!お前が、わがまま言って“男子”サッカー部に入るとか言うから!!!」

「まだ決まったわけじゃないだろ!!」

「…でも、ほぼ決定事項だよね。あんなの」

「おいっ!!」

…やっぱ、なんかあったんだ。

キャプテンが必死に押さえようとしてるけど、部員たちの表情は一様に暗いか、オレに怒りを向けてくる。
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