夢を追え!!
「1回もチーム練習してない奴が、連携なんて取れんのかよ」
「それも説明しただろ?…ミニゲームの時、荻原はその時初対面と言っていいメンバーの1年をコントロールしてた。俺たちと引き分けるくらいの連携を見せたんだぞ?」
「でも、これは公式戦と変わらない11人だ。5人とは訳が違う」
「…それでも、荻原はベンチから俺たちを見てたよ。きっと、荻原にはなにか見えてる。そんな気がする」
これは戸木の勘だ。でも、その勘には、理由がある。それを今教えるつもりはなかったが…。
葛城はなおも不服そうな顔をしている。それを認めながら、戸木は彼の肩を叩く。
「葛城、考え方を変えてみてみろよ。荻原は、相手がここまでしてチームに加えたがる人物。言い替えれば喉から手が出るくらい欲しいってことだ。そんな荻原が、平凡な選手だと思うか?」
「それは…」
明らかに動揺した葛城に笑いかけた戸木は、彼の背を叩いてアップを続ける彰矢と雪兎に近づいて行った。