地味OLはシンデレラ
「朝海さん、ご無沙汰しています。今夜も一段とお美しいですね」
背筋が凍るようなお世辞を言って近づいてくる人物…。
ワカタベブライダルの社長の息子が、和装美人を二人従えて、私と和真さんの目の前に現れた。
「ご無沙汰しています」
私は低い声で挨拶した。
「今夜は姫野社長とご一緒ではないのですね」
「はい。外せない仕事がありまして。間もなく参ると思います」
「こちらの方は?」
なにかを探るような目で和真さんをチラッと見る。
「篠宮和真さんです。弊社の企画広報部部長です」
「篠宮和真と申します。よろしくお願いいたします」
和真さんは名刺を取り出し、営業スマイルを浮かべている。
「朝海さん、明日お食事でもいかがでしょう」
この男、本当にしつこい。
何度断っても、懲りずにまた誘ってくる。
毎回違う女の人を従えて、なんでこんな地味子を誘ってくるのか。
おそらくは、本当に欲しいのは私のことではなく、ヒメ株式会社のことだろう。
自分の会社に吸収してしまえば、更なる利益を生み、会社は大きくなる。
けれど、私はそんなことに利用なんてされたくない。
パーティーでは常に周りに気を張って、弱味を見せてはならない。
私にとってここは、さながら戦いの場だ。
背筋が凍るようなお世辞を言って近づいてくる人物…。
ワカタベブライダルの社長の息子が、和装美人を二人従えて、私と和真さんの目の前に現れた。
「ご無沙汰しています」
私は低い声で挨拶した。
「今夜は姫野社長とご一緒ではないのですね」
「はい。外せない仕事がありまして。間もなく参ると思います」
「こちらの方は?」
なにかを探るような目で和真さんをチラッと見る。
「篠宮和真さんです。弊社の企画広報部部長です」
「篠宮和真と申します。よろしくお願いいたします」
和真さんは名刺を取り出し、営業スマイルを浮かべている。
「朝海さん、明日お食事でもいかがでしょう」
この男、本当にしつこい。
何度断っても、懲りずにまた誘ってくる。
毎回違う女の人を従えて、なんでこんな地味子を誘ってくるのか。
おそらくは、本当に欲しいのは私のことではなく、ヒメ株式会社のことだろう。
自分の会社に吸収してしまえば、更なる利益を生み、会社は大きくなる。
けれど、私はそんなことに利用なんてされたくない。
パーティーでは常に周りに気を張って、弱味を見せてはならない。
私にとってここは、さながら戦いの場だ。