ハライメ〜悪喰の大蛇〜
シャン……シャン、シャン……シャン……シャン……
離れの方から、鈴の音が聞こえてきた。
(ヒナ……)
パラパラとページをさかのぼるうちに、佳菜子の妊娠が判明したページまで戻ってくる。
『矢鳥家の名に傷が付く……』
あくまで佳菜子よりも家のことを心配する祖母。
それが復讐であるかのように、どこまでも道具のように彼女を扱うその姿……。
冷たい情念が文字から立ち上ってくるのを見た気がして、私は目を背けるようにノートを閉じた。