ハライメ〜悪喰の大蛇〜
私は加代に、祖母の日記から得られた情報を話して聞かせた。
日菜子の母・佳菜子がこの家に引き取られてきた経緯。
祖母と佳菜子の中は予想通りあまり良くなかったこと。
けれど佳菜子がいついなくなったのか、日菜子の父親が誰なのかまではわからなかったこと……
「なるほどね。おばあさん、書くのも嫌になるほど佳菜子さんを嫌ってたのかしら」
「うん、たぶん……。だけど、おばあちゃんのところに手掛かりがないとなると、あとはお父さんを調べるしかないのかなあ……」
けどそもそも、父は日記や手記なんてものを書くようなタイプだろうか。
それに、すでに主のいない祖母の部屋に入るのと、現在も父が使っている部屋に忍び込むのとでは、ことの重さが全く違う。
正直言って、気後れした。
「そうね、おじさんか……あとは、佳菜子さん本人の日記とかがないか探してみるとか」
首をかしげながら加代が言う。
私はその言葉に、思わず彼女を凝視した。
「え、なに、あざみ」
「ううん、さすが加代ちゃんだと思って。そっか、佳菜子さんの日記か……」
それは全然考えつかなかった。
蔵の奥深くにでもしまい込んでしまったのか、佳菜子の遺品と呼べるようなものを家の中で目にしたことはない。
だからそんなものがあるかもという発想がなかったけど……だけど、そうだ。
蔵の奥深くを探せば……もしかしたら。