ハライメ〜悪喰の大蛇〜






その夜、こっそりと鍵を外すと、私は蔵の中に足を踏み入れた。

最近は祖母の遺品を運び込むのに何度か出入りしたけれど、基本的にはほとんど入ることのない場所だ。

小さいころ、たまたま戸が開いていたので日菜子と二人で入り込み、中をあさって遊んでいたら祖母にすごく怒られて以来、あまり近づかないようになった。


懐中電灯であたりを照らす。

埃っぽさで重く感じる闇の中に、使わなくなった箪笥やテーブル、木箱や竹でできた箱(行李とか長持とかいうんだったっけ)、
骨董品らしきものから粗大ゴミにしか見えないものまで、様々なものが積み重ねられている。

この中に佳菜子のものがあるとしたら、どのあたりだろう。

さすがに行李や長持なんていう古めかしい収納具の中には入っていなさそうだけど……


そんなことを考えながら、目につくものは片っ端から開けられるものは開け、めくれるものはめくり、重なっているものは持ち上げて……


だけど時間ばかりが過ぎていき、それらしいものは見つからない。


疲れた。

カビ臭い空気も、暗くておぼつかない足元も、コソ泥みたいなことをしている自分もだんだん嫌になってくる。
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