ハライメ〜悪喰の大蛇〜

『佳菜子ちゃんとお友達は屋台を見て歩いている途中ではぐれてしまい、ようやく再会したとき、佳菜子ちゃんは浴衣をはだけてほとんど半裸の状態だったらしい。お友達がオロオロしているうちに、佳菜子ちゃんの格好に目を付けた不良グループの少年たちが近づいてきた。
佳菜子ちゃんは手を引かれるままに彼らについて行ってしまおうとするので、お友達は半分泣きながら周囲に助けを求めたそうだ。
そうして二人は保護されたと、警察の方が説明してくれた。
だけど……』


ためらうように一行空けて、母は続けていた。


『お嬢さんはよほど混乱されていたらしくて、とその方は言いにくそうに教えてくれた。
帰りの車中で、佳菜子ちゃんは隣に座った男性警察官に「やたらとすり寄ってきた」のだそうだ。
彼は言葉を濁していたけど、要するに男性を誘うような行動をとったらしい。
一体どうしたんだ、何があったんだと私たちが問いただすと、佳菜子ちゃんはケロッとした顔で「もっと遊びたかったの。お祭りで遊んだだけじゃ足りなかったから」と答えた。
「男の人に、もっと遊んでもらいたかったの」
そのあまりにもな発言に、雅史さんはさすがにカッとなったらしく彼女の頬を引っ叩いてしまった。
佳菜子ちゃんは「痛い」と言って、きょとんと兄の顔を眺めていた。

< 50 / 56 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop