それは星の最果てのようで。
フタリの星合
「な…っ、は!?」
いくら目を擦ってみても、そこにいるのだ。俺と同じくらいの女の子が。
女の子は俺に背を向けていて後ろ姿しかよく分からない。
腰くらいまである長い黒髪をゆるく下の方に1つ結んでいた。

プルルル!!

そのとき携帯が鳴った。
「うわあっ」
その振動に驚いたら着信先は『母さん』。
「な、なんだ母さんかよ…」
焦らせんなよとかブツブツ喋りながら電話に出る。
「あ、もうなぎったらぁ!私の靴が足りないのぉ!どこにしまったの?靴片付けてたのなぎよね?」
「あー…」
めんどくさくてあちこちにしまった気がする…。
「説明されてもよく分からないから今、迅速に帰ってきなさいね」
ブツっと切れた。
「なんだよめんどくせー…」
電源を落とした時ハッとした。
「あれ…」
さっきまで電柱の上にいた女の子がいなくなっていたのだ。
(やっぱり普通に考えて見間違えだよな…)
電柱の上なんか誰も登れないし普通に落ちてしまう。
あの錯覚はきっと疲労から来てるんだと急いでばあちゃんちに戻った。

「汀は来ねえべと思ってたあな」
夕飯は南瓜を煮たやつと質素な味噌汁だった。
「来ねえつもりだったけどな」
「汀ももう高校生じゃけ奈純にくっついて歩こうとしねえでいいんよ」
ばあちゃんの声はガラガラで聞き取るのもやっとだった。
「や、別に…」
母さんの為だと解釈されるのは癪だ。
別に母さんの為でもないし母さんっ子でもない。
「やだなあ、お母さん。なぎが私のこと好きなのは昔からよ?」
「…おい」
調子にのった母さんに舌打ちした。
「まあ仲良う暮らすべや」
そんな俺と母さんにばあちゃんは温かく笑った。
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