嘘つきなキミ(続編)
ーはやとー

歪む視界に思わず目を瞑った。


こあ「お父さん...」


俺は、少し目を開いてこあをみた。


「このくらい大丈夫だ。」

こあ「でも...」

「今はゆうきの事だけ考えてやれ。」


こあは、それ以上何も言わず、頷いた。


あい「はやと、少し休んで...」

「ぁあ。わりぃな。」


俺は目を瞑った。
それでも、頭の中でグルグルと目が回り気分が悪かった。


それから少しして、その時がやって来た


病室から警告音が鳴った。


あいは急いで車椅子を押しながら部屋へ入って行った。


ーガラガラ


おじさんとおばさんはビックリした顔をしていた。
俺は気にせず、酸素を取り車椅子から降りた。
歪む視界に耐えながら...


「ゆうき、しっかりしろ!」


ゆうきは少し目を開けた。


ゆうき「先生...ありがとう。」


今にも消えそうな声で、そう言った。


「俺、結局ゆうきに何もしてやれなくて、、、」

俺は言葉に詰まりそれ以上何も言えなかった。

ゆうきは微笑みゆっくり首を横に振った。
そして、一筋の涙がゆうきの頬を濡らした。



こあ「ゆうき...」

「...こあ?...笑顔でな...」

こあ「ゆうきがいないと無理だよ...」


ゆうきはもうほとんどない力を振り絞り、こあの頭に手を乗せた。

ゆうき「こあなら...大丈夫だ...。俺の分まで...生きろよ...」

こあ「やだ。やだよ。そんな事いわないで。こあを置いてかないでよ。」

ゆうき「ごめんな...」

こあ「いや...ゆうき...」


そして、ゆうきみんなの顔を見回した。


ゆうき「みんな...ありがとう。」


ゆうきは微笑み最期の言葉を残して、永遠の眠りについた。



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