それはきっと、幻だった

「あのさ、私たちが付き合ってることは知ってるよね?それでさ、付き合ってから蓮と全然話してないんだよね。」

蓮って呼んでるんだ、なんて関係ないことをぼんやりと思いながら、

「そうなんだ。」

と相槌を打つ。

「葵ちゃん、蓮と仲良いでしょ?だから何か聞いてないかなって。」

彩花ちゃんの話し方は、私を責めるようなものではなく、純粋な感じだった。

「うーん。木村も悩んでるみたいだったから1回ゆっくり話したらどうかな。」

木村との会話の内容をそのまま言えるわけがないから、私は再びあてさわりのないことを言った。
< 10 / 34 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop