それはきっと、幻だった
「まぁまぁ。友達として慰めてよ。」
木村はそう言いながら、私の頭をぐしゃぐしゃと撫でた。
「傷ついてるようには全然見えないけど。」
木村の手を払いながらそう答える。
「これでも色々後悔してるんだよ。申し訳ないことしちゃったな、とか。」
急に木村が弱々しい声になった。
「中途半端な気持ちで告白したこと?」
「そうそう。だから慰めて。」
「はいはい。木村はあほだね。もっと考えて行動しなさい。馬鹿。よしよしよし。」
私が木村の頭に手を伸ばし、わしゃわしゃと髪をかき混ぜていると
「それ、全然慰めてないから!」
と、笑いながら木村は私に抗議した。