それはきっと、幻だった
季節は秋。
もうすぐ文化祭の季節がやってくる。
私の名前は橋本葵。高校1年生。
勉強は上の中。運動は中の下。
そして容姿は、うーーん。まぁ普通。
男女共に友達は多い方だと思う。男子とも気軽に話せるおかげで、顔はそこそこだけど、それなりに告白されたりする。
「橋本さん!最近彼氏とどう?」
こうやってよく話しかけてくるのは、男子の中では1番気兼ねなく話せる木村蓮。
こんなに仲良くなっても何でかわからないけど、呼び方は「橋本さん」。
木村が呼び捨てにするのは彼女だけだ。
「あー。彼氏は昨日別れちゃった。」
私がそう答えると、木村は少しだけ気まずそうな顔をした。