それはきっと、幻だった
「西原さん、おはよ。橋本さんの頭が腕を置きやすい形なんだよな。」
にこにこと、それをかわす木村。
瑠奈の扱いに初めは戸惑っていたものの最近では慣れたみたい。
すると。
瑠奈が少しだけ私を睨んだような気がした。
「ちょっと私、トイレ行ってくる。」
いたたまれなくなり、席を外す。
瑠奈は女子だけでいる時は、明るいし盛り上げてくれるし、とてもいい子なんだけどな。
そこに男子が入ってくると、ややこしくなってしまう。
誰にとっても1番になりたいみたいで、さっきみたいなことがあると不機嫌になる。
このことには多分、由香里も美月も気が付いていない。