それはきっと、幻だった
トイレをすませて教室に戻ると、さっきのまま私の席の周りに集まって話していた。
美月が私に気が付いて
「おかえりー。」
と声をかけてくれる。
「ただいま。」
私が椅子に座ると再び木村が私の頭に腕をのせてきた。
「重いってば。」
慌てて私がよける。
あとでラインで木村に注意しておこう。
すると、瑠奈がさっきと同様、私に冷たい視線を投げかけながら口を開いた。
「葵って強く拒否しないよね。そんなんだから『たらし』なんて言われるんだよ〜。」