それはきっと、幻だった
「ごめんごめん。そういえばさ、数学のテストのことなんだけどさ。」
瑠奈がそう言ったことにより、この話題は終わって違う話題に変わった。
さっき悪くなった空気は、すぐにいつも通りのほんわかした空気に戻った。
はぁ。こんなことがあるたびに思うけど、やっぱり私は瑠奈のこと苦手かも。
でも…普段は楽しいし面白いから、どうしても許しちゃうんだよね。
それに高校生になってから、苦手だなって思っても皆それを口に出さなくなった。
あてさわりなく、やりすごしている。
だから私も距離を置いたりしないでこのまま過ごそう。
私はぼんやりとそんなことを考えていた。