それはきっと、幻だった
放課後…と言っても、今から始まるホームルームが終わればすぐに放課後だ。
「橋本さん!」
能天気に木村が話しかけにくる。本気で今は来ないで欲しい。
「なに。もう先生来るよ?」
私は目を合わせずに、鞄に教科書を入れながらそう答えた。
「今日ラインしていい?」
なんじゃそりゃ。
「いつもしてるじゃん。わざわざそんなこと聞きにこなくてもいいよ。」
呆れ気味に言う。
すると担任の先生が入ってきた。
「おーい。ホームルームするぞー。って言っても特に連絡事項はない。だからもう終わりだ。じゃあな。」
それだけ言って、教室から出て行った。
早すぎるし適当すぎる…。