それはきっと、幻だった

放課後…と言っても、今から始まるホームルームが終わればすぐに放課後だ。

「橋本さん!」

能天気に木村が話しかけにくる。本気で今は来ないで欲しい。

「なに。もう先生来るよ?」

私は目を合わせずに、鞄に教科書を入れながらそう答えた。

「今日ラインしていい?」

なんじゃそりゃ。

「いつもしてるじゃん。わざわざそんなこと聞きにこなくてもいいよ。」

呆れ気味に言う。

すると担任の先生が入ってきた。

「おーい。ホームルームするぞー。って言っても特に連絡事項はない。だからもう終わりだ。じゃあな。」

それだけ言って、教室から出て行った。

早すぎるし適当すぎる…。

< 8 / 34 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop