大胆な彼【短編】
しばらく人混みをかき分けて歩くと人気のない端の階段まできていた。

紅葉「ちょ、健一疲れた」

健一はようやく手を離してくれた。

紅葉「今日来るって聞いてなかったよ!言ってくれたら良かったのに!」

健一「中2の時仲良かった奴に誘われて来たんだよ。サプライズで会いに来るつもりだったから言わなかった」

なるほど、それでか!

健一「さっきの奴誰?親しげに話してた奴。彼氏?」

紅葉「んなわけないじゃん!友達だよ、とーもーだーちー」

健一は「あっそ」と言ってそっぽを向いた。

あれ、もしかして…

紅葉「何、もしかして妬いてるのー?安心しなって、中3の時も男子と仲良くしてたじゃん!って妬いてるわけないかw」

健一「………てる」

紅葉「ん?なんか言った?」

健一「妬いてるって!!」

予想外の言葉にびっくりしすぎて思考回路が一瞬停止した。

紅葉「は、何がどうなってそうなんの?」

健一「はぁ…お前さ、純粋過ぎるってかバカっていうか…」

紅葉「バカは余計でしょ。何が言いたいのよ」

健一「お前髪に何もついてねーから」

紅葉「えっ?でも西河が付いてるって…」

健一「あいつ、手にバレッタ持ってた」

紅葉「バレッタ?」

健一「だーかーらー、初めからお前にバレッタ渡すつもりで後ろ向かせたんだよ。そいつは」

紅葉「えっ、マジで!?///」

西河がそんなカッコイイ事するなんて以外だった。

健一「何で照れてんだよ…」

紅葉「だってそんなカッコイイ渡し方ある!?西河って結構ロマンチストなのかな?」

健一「はぁ…」

紅葉「何よ、その馬鹿にした目は!」

健一「お前あいつの事好きなのか?」

紅葉「友達としては好きだけど、恋愛対象ではないかな。仲良い友達って感じだし」
< 6 / 7 >

この作品をシェア

pagetop