本気のパイライト


「え……?」


聞こえてきた先輩の言葉の意味が分からなくて顔を上げると、こっちを見る先輩と目が合う。


「……っ!」


そのまま数秒、見つめ合ったと思うと、先輩は私の頭にポンと手を置いた。


「…っ、」


「確かに、弟は大事な人だよな。俺だって妹は大事だと思ってるし。
……いい姉ちゃんじゃん」


「…っ、!」


そう言って先輩が向けてくれた優しい笑顔に、私は思わず零れそうになる涙を止めようと顔に手を当てる。


そうだよね…。
先輩は、そういう人だったよね……。

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