本気のパイライト


「え…?」


目を見開いてこっちを見た渡良瀬ちゃんに、俺はもう一度聞く。


「スポーツしてる人はかっこいいんだろ?
じゃあ、俺のサッカーしてる姿は?」


「それは……」


俺はもう、気づいていたのかもしれない。


どこかで、感じていたのかもしれない。


大事な人が弟だったって知ってから、自分に自信があったのかもしれない。


渡良瀬ちゃんは、俺に惹かれてる。


そんな淡い期待が、確かに俺の中にあった。

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