本気のパイライト


嬉しそうにキーホルダーを手に持った彼女。


夏祭りの時に言っていた大切な人に贈るのかと聞けば、一気に顔を赤らめた彼女。


そして────、


『そ、そうですよ!大切な人に贈るんです!』


「……はぁ…」


「さっきからなんなの、お前は」


「あはは…、悠久はいつでも悠久だな…」


俺の様子に心配をすることもなく、いつも通りの塩対応で面倒くさそうな顔を向けてくる悠久に、俺は思わず苦笑をもらす。

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