ねこ吉じいさんの宝物
じいの秘密
冷たい風が毛を揺らす、秋が終わり冬が始まる頃も、私とララはいつもと変わらない毎日を過ごしていた。


でもねこ吉じいは違った。


「じい?いないの……?」

「あ、じい見っけ!」

じいは前のように一日中島を歩き回ることはなくなり、ドラム缶のなかで過ごす時間が増えた。

しわくちゃの新聞紙がたくさん敷いてある中にうずくまっている、じい。

なんだか元気がなさそうだ。

「じーい?大丈夫?」

「ああ、来たかい」

ガサガサと音をたててじいがゆっくり立ち上がった。

「じい、風邪引いたの?」

ララが心配そうにじいを見上げた。じいの目は潤んでいて少し眠そうだ。

「ちょっと寒かったからのう。さぁて、行くか」

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