ねこ吉じいさんの宝物
「テトー、ララー、そろそろ帰るよ」
一時間くらい経ったかな。
真上にあった太陽は少し西に傾きかけている。
じいが私たちを呼ぶ声に、すばやく反応したララは声に向かって懸命に砂を蹴って走っていった。
見ているこっちがひやひやする。
ララってばどじなんだから、砂浜なんか走ったらこけちゃうよ。
「ララー、気をつけてー!」
「分かってるって……わぁっ」
ほらね、言わんこっちゃない。
前のめりに思いっきりこけて、ララは体を砂まみれにさせた。
「もうっ、気を付けてって言ったのに」
私が駆け寄ると、ララは口に砂が入ったのか、ペッペッと舌を出して砂を吐き出していた。
「はっはっは!!」
そんな私たちのやり取りを見て愉快げに笑う、じい。
そんなに笑っちゃ、いつもみたいに拗ねちゃうよ、ララは。
そう思ってひやひやしていたけど……
あれ?いつまで経ってもララのいじけた声がしない。
「ララ?」
ララはジッと自分の足元を見つめていた。
「何見てるの?」
「お姉ちゃん、これ」
「あ……!」
そこにあったのは、千切れた青いヒモがついた、銀色の……
「鈴だぁ」