ねこ吉じいさんの宝物
じいの友達
チリン…チリン…
ララが歩くたび、その首に付いた鈴が歌うように鳴る。
風に揺れる草の音が伴奏のようだ。
じいの住む丘を、ララは跳びはねながら下っている。
「ララ」
「なあに?」
くるりと振り返るとまた鈴が鳴った。
「それ、よかったね」
「うん!!」
嬉しそうに私に答えて笑う、ララ。
その首には青い海のような色のひもに繋がれた鈴がある。
砂浜から帰ったあと、じいが寝床からひもを取り出してきて、鈴に繋いでくれたんだ。
ひとつしかないけど私たちが持っておきなさいって。
私は、その鈴がじいの秘密と関係があるんじゃないかと思って、どうして私たちに渡しちゃうのかわからなかった。
もしかしてあれはじいの大切なものなんじゃないのかな。
だってじいはそれにひもを結ぶとき、大事に大事に扱っていたから。
それに……鈴を見たとき何か言いかけた。
でも、結局じいは何も教えてくれなかったんだ。
「ララ、帰ろっか」
「うん」
「競争しよう!」
「え?……あ、待ってよー!!」
走れば走るほど潮風を強く感じて、私はなんだか寂しい気持ちになった。