ねこ吉じいさんの宝物
「お姉ちゃーん、速いよー」
近くでしていたララの声が遠くなって、私は振り向いた。
まだララは丘の中腹らへん。
私はもう麓まで来てしまった。
ちょっと急ぎすぎた、と思って止まろうと足を踏ん張る。
けど……
あれ?
と、止まれない!!
周りの景色がどんどんスピードを上げて過ぎていく。
「ララー!止まれないよ!!」
「お姉ちゃん!危ないっ!!」
「え!?」
「前っぶつかっちゃう!!」
ララに言われて前方を見ると、そこには、灰色の長い毛の猫がとぼとぼと道を歩いていた。
「きゃー!!おじさんどいてぇ」
私の叫びが聞こえたのかその猫は私に気付いた。
「なんだ?」
でももう遅い。
ぶつかる!!
「うわぁー!」
「きゃぁ!」