ねこ吉じいさんの宝物

2つの悲鳴が海に吸い込まれていった。


「いたたた……」

ぺたんと地面に倒れるおじさん猫から、へにゃへにゃした声が聞こえた。

私は体に付いた草と土を払いながら起き上がる。

「おじさんっ!大丈夫ですかっ」

「いたた…いや、平気だ。お嬢ちゃんこそ大丈夫かい?」

眉をたらしながらおじさんは言った。

「ほら、そこの丸っこい子が心配してるよ」


いつの間に来たのやら、横にはララが心配そうに立っていた。


「お姉ちゃん大丈夫?……おじさんも」

「うん、へいき。おじさんごめんなさい」

「はは、元気があっていいな。でも気を付けないと危ないよ」


そう、微笑みながら言うおじさんの黒目がララの方に動いた。


「そ、それは……!」

驚いたようなその顔に、ララも私も不思議に思って首をかしげる。

「その鈴……君たちどうしたんだい?」


チリン…

銀の錆びた鈴。
じいの秘密。

このおじさんは何か知っているの……?

< 23 / 35 >

この作品をシェア

pagetop