ねこ吉じいさんの宝物
2つの悲鳴が海に吸い込まれていった。
「いたたた……」
ぺたんと地面に倒れるおじさん猫から、へにゃへにゃした声が聞こえた。
私は体に付いた草と土を払いながら起き上がる。
「おじさんっ!大丈夫ですかっ」
「いたた…いや、平気だ。お嬢ちゃんこそ大丈夫かい?」
眉をたらしながらおじさんは言った。
「ほら、そこの丸っこい子が心配してるよ」
いつの間に来たのやら、横にはララが心配そうに立っていた。
「お姉ちゃん大丈夫?……おじさんも」
「うん、へいき。おじさんごめんなさい」
「はは、元気があっていいな。でも気を付けないと危ないよ」
そう、微笑みながら言うおじさんの黒目がララの方に動いた。
「そ、それは……!」
驚いたようなその顔に、ララも私も不思議に思って首をかしげる。
「その鈴……君たちどうしたんだい?」
チリン…
銀の錆びた鈴。
じいの秘密。
このおじさんは何か知っているの……?