ねこ吉じいさんの宝物
「ねこき……」
「ララっ!ちょっとまった!!」
じいの名前を言おうとしたララを私は遮った。
二人とも私の急な大声にビックリしている。
だって……
ちゃんと、聞かなきゃいけないことがある。
「おじさん、おじさんの名前は何ですか?」
「あ…ああ、そうだね。すまない。遅くなったが、私はサトという。えーと君はララだったね。お姉ちゃんの方は何て名前だい?」
ポリポリと顔を掻いて、おじさんはにこりと笑った。
「私はテトです」
「そうか、かわいい名前だね」
「あの……、おじさんが探している猫って、おじさんとどんな関係なんですか?」
聞いていいことといけないことがある、というお父さんの言葉を思い出して、私はちょっと不安になった。
でもおじさんは優しく笑ってくれた。
「私にとって彼は、恩人、命を救ってくれたヒーローで……。でも彼は私のことを、友達…だと思ってくれていたよ」
そしておじさんは照れ臭そうに、でもすごく嬉しそうに続けた。
「彼は私に言ってくれたんだ。私は彼の
“大切な宝物”だと……
そしてくれたんだよ。君のつけている、その鈴をね」
おじさんはじっと鈴をながめた。
それは、じいと同じような眼差しだった。