ねこ吉じいさんの宝物
私たちが赤ちゃんのころ、パパがしてくれたお話。
島のひんやりとした細い路地を散歩しながら、ふと私は思い出していた。
ララは覚えているかな。
石の階段を登るララを見ながら考える。
その時突然ビュンと吹いてきた冷たい北風に驚いて、ララが足を踏み外してこけた。
「きゃあっ」
短い悲鳴を上げて倒れたままのララ。
あーあ、なにやってるんだか。
ララは一日一回はこけなきゃ済まないのかな……
「ララー?」
私が呼び掛けるとララは小さな声で「お腹空いたー」だって。
まったくもう。さっき食べたばっかでしょう。
ぐうとララのお腹が鳴る。
チョンと背中をこづくと、ララはエヘヘと笑った。
ちょっと楽しそうだったし疲れたから、私もララと同じように石段の上にうつ伏せになってみた。
うーん……お腹がごつごつする。
「おやおやまあ、こんなところに。おチビちゃんたち」