ねこ吉じいさんの宝物
高く昇った太陽の日差しに冷たい風が混ざって吹いてくる。

「嵐?」

サトおじさんは右耳をピクリと動かして首をかしげた。

私たちは並んで丘に座って海を見下ろしている。

「うん、今日の夕方ごろに来るらしくて」

「あのね、じいに早く教えてあげないと、危ないでしょ!」

じいのことが心配で、私たちはついサトおじさんに詰め寄った。

「そ、それがだね、私もねこ吉さんを探してるところなんだよ」

「え?そうなの?」

ララは手掛かりがなくなって、残念そうにため息を吐いた。

「ごめんね」

おじさんのため息も風に混じった。

「おじさんも、じいに何か用なの?」

そう私が尋ねると、おじさんは顔を伏せて小さな声で言った。

「大事な話…、まだできていないんだ」

じいのガラクタたちがざわざわと音を立てていた。
< 33 / 35 >

この作品をシェア

pagetop