ねこ吉じいさんの宝物
私とララはじいについて丘を降りて港に向かった。

潮の香りがだんだん濃くなって、ビチビチと魚の跳ねる美味しそうな音が聞こえてきた。


漁師たちが魚を捕ってきたんだ!

「お姉ちゃん…お腹減ったね…」

ララがそう言い終わる前に私たちのお腹がキュルッと鳴いた。


「おう、チビたち、一匹やるよ」

私たちが物欲しそうに見ていたのに気付いたのか、真っ黒に焼けた一人の漁師がポンと魚を投げてくれた。

ピカピカの魚からは新鮮な香りがした。


「おじさん、ありがとう!」

ミャーっと鳴いた私とララの喉をひと撫でして、漁師は仕事に戻っていった。

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