ねこ吉じいさんの宝物
私の視線に気付いたのか、じいはそれをヒョイッとくわえて持ち上げた。

「ひょうのふうはふしゃ」

「じい…何言ってるか分からないよ……」

ララが困ったように首をかしげるとじいはそれを地面に置いてにっこり笑った。


「今日の収穫じゃ。さあもう帰ろうかのう」

そう言って再びくわえたそれは、魚でも貝でも海藻でもない。


薄汚れた片方だけのビーチサンダルだった。

黄色いそれにはハイビスカスが描かれていて、キラキラと輝くスパンコールが沢山付いていた。

< 6 / 35 >

この作品をシェア

pagetop