またあう日まで
大体の片付けが終わって、やっと一息。
自分の部屋があるって素晴らしい。
「沙華ーー、飯どうするーーー?」
あ、そういえば
お昼から何も食べてなかったんだった。
一度意識し始めると人間て不思議なもので、まるで合図みたいに腹の虫が鳴くんだね…
「んー……ラーメン!」
「お前に聞いたらそればっかだな…他にねぇのかよ……」
そう言いながら隆兄は普通に部屋に入ってくる。
女子の部屋にノックもせずに入れる変態は、多分隆兄ぐらいしかいないと思う。うん。
家族でも常識だよね。
「じゃあ私やっさしぃーから、隆兄の好きなものでいいよもう。」
「え、まじ、じゃあゴーヤチャンプル」
「それだけはやめてマジご勘弁」
「え、俺の好きなものだろ?」
だからって、妹の1番嫌いなものをチョイスするなよ…
こういう時はほんと意地汚い。
まあここでどうこう言ってもお腹は膨れないので、とりあえずリビング行こっかな。
夕食が出来るまで、暇つぶしに外でも見ようと思い、暗くなりかけの空を見上げる。
「……私、本当にここに住むんだ………」
引っ越しの日、たくさんの友達に見送ってもらって、
その時はまだ実感が無かったから、涙の1つも零れなかったけど
こうやって知らない場所に来て、知らない景色を眺めていたら
やっぱり少し寂しいなって思う。