またあう日まで
「行ってきます…」
翌日。
なかなか寝付けなくて、目覚めが最悪だ。
「うわぁーーーー!!やべぇ寝過ごしたぁぁ!!!!!」
「隆兄のそういうとこ見ると兄妹って感じするわ…」
朝からこんな感じで1日がスタート。
新しい学校の制服はまあまあ可愛いと思う。
ネクタイに憧れていたから、新しい制服がネクタイって知った時はテンション上がり過ぎて、近所の子供達と喜びの舞踊ったっけ。
「……懐かしいな。皆どうしてるんだろ…」
嬉しい反面、東京とは全く違うことばかりで、
やっぱり寂しいって思う。
…………だけど、大丈夫。
隆兄もいるし、田舎の人は優しいってTVでよく聞くし。
「じゃあ、行ってきま~すっ」
「おーう、頑張れよ!」
「うん!!」
よーーっし、気合入れて頑張るか!
自然に足が前に進む。
これからどんな人達に出会って、どんな生活を送るんだろう。
何だかんだで、結構楽しみにしてる自分がいた。
_____だけど、
「さぁ、入って。」
軽く強引に押される背中。
開かれるドア。
「……ひ、ひぃぃ………」
「先生ー!?転入生とか聞いてなーい!」
「さっき頼まれた電球替えといたよ~」
「……背中、痛くなかった?ごめんね……」
…正確に言うと、
『誰も後ろにいない』はずなのに
強引に押される背中。
『ドアには誰も触れていない』はずなのに
勝手に開かれるドア。
「はーいはい静かに!新人困ってるだろー。
………それじゃ、紹介するぞ。今日からこの中等部2年に転入してきた、綺島沙華さんだ。皆仲良くするんだぞーーー」
目の前を通り過ぎる教科書。
宙に浮く電球。
………教室の隅にいる、謎の動く植物…
「「よろしく/な/ね/~!!!」」
「……よ…よろしく………?」
……………………………この14年間の中で、1番信じがたい光景が目の前にあって。
…ちょっとどういうことかよく分かんないんですけど……