ひとりぼっちのマル

誰か

いつの間にか眠っていた僕。

目が覚めると外はもうすっかり明るくて
人間達の声が聞こえていた。

空に向かって顔を上げたら、

そこには僕を見つめるたくさんの
人間がいた。

「ねぇねぇ、これって捨て犬?」
「う~ん、そうかなぁ?」
「かわいいねぇ」

僕の飼い主じゃない。

一体誰なんだ?

何度見ても知らない人だ。

「お~い、お~い」

大きな手が僕の方に来る。

(嫌だ~!怖い!怖い!あっちいけ!)

一生懸命吠えた。

つもりだったんだけど

人間は僕が喜んでると思ったみたい。

飼い主のように僕の頭をなでる。

「うわぁ、かわいい♪」
「ほんとふわふわだねぇ」

いろんな手が僕に触れる。

ふふっ。なんだかくすぐったいや。

「ねぇ、もう学校に遅れちゃうよ。」
「ほんとだ、また放課後に来るからね」
「バイバイ」

(えっ、待ってよ。僕をここから出してよ)

吠えても、吠えても・・・ダメだった。

誰か僕に気付いてよ。

ここから出してよ。

何でこんな所に僕1人なの。

ねぇ、僕マルって言うんだ。

ひとりぼっちなんだよ。

ママに会いたいんだよ。



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