麗しき日々
 
テーブルに座ると、注文を聞きに来たおばちゃんが、ニコニコと私の顔を見た。


「いつものと、生二つ」

 副社長はこの店の常連らしい。


「はいよ」

 おばちゃんはニコニコと、奥へと入って言った。


 私は、ずっと疑問に思っていた事を口にした。


「あの…… 何故、私は、ここにいるのでしょうか?」


「ああ、焼き肉食いたかったから」


「だから、なんでっ……」


「まあ、いいから食ってみろって!」


 副社長が嬉しそうに言うと、生ビールと共に、肉の盛り付けられた皿を、おばちゃんが運んで来た。


 熱くなった網に、副社長がトングで肉を並べた。


 いい匂いがして、よだれが垂れそうになり慌てて、気を持ち直した。


 しかし、目の前で、はっきり言ってカッコいい副社長が、ビールのジョッキをこちらに向けて持ち上げたげた。

 思わず、ジョッキを持ち上げてしまい……

「乾杯!」

 となった。


 だが、一口飲むビールは、乾いた喉に伝わり旨い。


「美味しい……」

 思わず漏れる。


「ほら、食えよ」

 目の前の肉に手が伸びる。


「美味しい~」

 肉といい、タレといい口の中で広がるうま味に絶えられない。

 次から次へと手が伸びてしまう。


 どんどんと、私の顔は和らぎ。


 白いご飯を目の前に出された時は、万弁の笑みをおばちゃんに向けてしまった。
 
 副社長が、嬉しそうに私を見て笑った……



 確かに、幸せを感じる……
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