麗しき日々
「すみせん……」

 慌てて、頭を下げ廊下に出たのだが……


「おい!」

副社長は追い掛けてくる。


 走って逃げたいのだが、体が思うように動かず、副社長に捕まってしまった。


「なんで逃げるんだ?」

 副社長の鋭い声がするが、目を合わせる事が出来ない。


「逃げてなんか……」


「いいか。明日のパーティの準備で俺は忙しいんだ。時間とらせるな!」



「べ、別に時間取るつもりなんて…… お忙しいなら早く行って下さい」



「だから、湖波が行かなきゃ、準備が進まないんだ」


「なんで私が?」


 副社長は、少しニコリと笑った。



「だって、俺と湖波の婚約パーティだろ?」
< 39 / 43 >

この作品をシェア

pagetop